2025年9月27日(土)~10月12日(日) 水・木曜休廊
13:00~19:00 最終日17:00まで
|
「MEMENTO MORI」
建石 芳子
花の盛りは誰もが美しく感じます。 植物も生ある動物もいつの日か、花の盛りを過ぎ死を迎え、この世の役割を終えた時、 肉体は他の動物に食いつくされたり、また朽ち果て腐葉土として別の生命の栄養になって、あらたな生命を生みだします。 日本絵画の九相図には、屋外に打ち捨てられた死体が朽ちて行く過程が描かれてます。 生と死に対するあきらめの念と一方では残り少なの月日の生への執着心も見え隠れするようにも感じます。 朽ち果てるまでの時間、月日の中ふと光を放つ瞬間があり、それは日本人が大切にてきた侘びさびにも捉えられ美しい瞬間でもあります。本作品の花や生物の死を時の流れを受け入れる自分自身と重ね合わせています。 この作品を制作するころ、世界を震撼させたパンデミック「コロナウイルス」で、ウクライナやガザでは戦闘で子供たちや女性などの無辜の人々のいのちを奪っていきました。 綿毛のようななんと軽いいのちなのだろうと、虚しさと哀しみ怒りさえおぼえました。 私は、印画紙を一枚一枚塩を加えた卵白液で塗布膜をつくり、精製水と硝酸銀で反応させてつくる手間と時間のかかるアリューブメン(鶏卵紙)技法でプリントすることで、「生」と「死」と向き合い「生命とは」「人間とはなにか」を感じたいと思い制作しました。 そして、本展覧会が死に向かっていく人たちが生きていた記憶として残る展示になることを願います。
|
作家プロフィール
建石芳子 TATEISHI Yoshiko
写真家
大阪府羽曳野市生まれ
大阪市在住
2024年 京都芸術大学通信教育部美術科写真コース卒業
奨励賞受賞
2024年 個展「MEMENTO MORI」(IG photoGally)東京銀座
2025年 個展「MEMENTO MORI」(galeieSPUR)大阪豊中